多 宝 塔   1棟

方三間 初重瓦葺二重桧皮葺





 近世の、それも後期に再建された多宝塔であるが、設計図板を残している市内唯一の塔である。板図の1枚は屋根組、もう一枚は正面図で共に10分の1縮尺の墨引きした今も使える設計図である。
 塔正面三間の中央は4枚の浅唐戸、両脇は花頭窓、側面中央に引違い戸その両脇は板張り。蟇股は正面三間共あって、側面と背面の三間は中央間のみで両脇には間斗束をつけている。
 垂木は初重が平行、二重が扇形で図面どおりである。下から見ると扇形垂木はみごとである。屋根葺きは初、二重とも、もともと桟瓦か桧皮葺であったかは原図ではよくわからない。堂内は四天柱なく奥壁に須弥壇がつくられ、釈迦仏をまつり、床板張り格子天井づくりである。棟札によれば文化9年(1812)鴻池組によってつくられたものである。

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